わたしは私を通して現れる世界に興味があります。
その世界を通じて、この広い世界とコミュニケイトしたいのです。
現したいなにかがゆっくりと浮上してきます。
不確かなそれを見定めてゆきます。
ふんわりとした気配のようなものです。
急いでつかもうとすると、霧散する。
忍耐深く待ったり、注視していると、具現化に最適な時が現れる。
制作は、そのような作業です。
不条理でアンバランスで不穏な、そういうものに惹かれます。それらは一見ユーモラスにも見えます。
日常のすぐ横に潜む異次元のようなものです。
異次元的な不可思議さが作品に力を与えます。
現代の日本ではあらゆるものがパッケージされていることが多い。
いのちのなまなましさに触れることが少なく感じます。
時に暴力性をもはらんだ、不穏な生命のエネルギーに惹かれます。
命って不格好だと思うのです。不条理で制御できない。
それが、美しいなと。